(うそつきアリス)
Posted by 後ろの人 - 2008.12.31,Wed
…何だろ此の打ち切り的な…!
(http://t-walker.jp/mugefan/img/win_town4/win_town4_futari01.jpg)
~ランドアースの何処か~
新年を迎える歓喜に満ちていたひとつの街が、今、消滅した。
精悍な顔付きをした一人の男の、ほんの戯れによるものだ。
消滅した街の地下……。
住民の誰も存在を知ることの無かった、その広大な地下迷宮は、恐るべき数々の罠を携えていた。
幾重にも仕掛けられた死の罠の数々は、迷宮の主の異常なまでの疑心暗鬼を感じさせた。
その仕掛けを、男は顔色ひとつ変えることなく進む。
毒針も吊り天井もその体に傷を与える事は無く、落とし穴すら意に介さず空中を歩く。
やがて、男は最深部の玄室に辿り着いた。
「ひ、ひぃぃぃ! 来るな! 来るなぁぁぁっ!」
玄室の片隅で震えていた何者かが、男の到来を目の当たりにして、情けない声を挙げた。
しかしその姿は、情けない声からは考えも付かない、完全なる異形。
全身を血塗られた包帯に覆い、脳が巨大に肥大化した頭部からは不気味な目と角を生やし、背中には脈打つ車輪を背負ったその姿は、紛れも無くキマイラであった。そしてまた、彼が怯えた恐怖の声と共に放つ攻撃は、先程の盗賊キマイラとは比べ物にならない、強力なものだ。
しかし男は、やはりそれらの苛烈な攻撃に一切怯む様子もなく、悠然と歩を進める。
そして怯える異形の前に立つと……ゆっくりと手を差し出した。
「見事だ。盗賊の王、闇の盟主バナザードよ」
男はその異形をバナザードと呼び、優しく助け起こした。
男は言葉を続ける。
「盗賊を続ける者は、やがてお前という、全ての盗賊を統べる『闇の盟主』の存在を知る」
「同盟諸国の冒険者達に、幾度か、犯罪の僅かな関連性から正体を掴まれそうになりながらも、
お前は類稀なる疑心と狡猾なる静けさによって、それを逃れた」
「お前の力は極めて脆弱だが、その疑心、その利己心は、まさに悪の教導者に相応しい」
「そして、お前によって世界にばら撒かれた悪は、遂にキマイラという収穫の時を迎えた」
男は、なおも言葉を続ける……。
‐‐‐‐‐
(http://t-walker.jp/mugefan/img/win_town4/win_town4_futari10.jpg)
「お前は、偉業を成し遂げた。その収穫、ありがたく貰い受けよう」
その言葉と同時に、男は背中から美しき8枚の翼を生やし、ゆっくりと広げる。
キマイラのようでいて、キマイラとは異質の存在――。
包帯に包まれたバナザードは、歓喜の涙と共にキマイラ化を解く。
肥大していた脳は頭蓋に再び収納され、包帯が滑らかな素肌を滑り落ちる。
この姿に戻ったのは何年ぶりか。
そして、このような安らぎを得られた事が、これまであっただろうか。
バナザードは理解したのだ。
何故、自分は盗賊達に君臨していたのか。自分の生は何の為にあったのか。
彼が、彼こそが、求め続けた真実の『主』なのだ。
男は、バナザードに優しく語り掛ける。
「キマイラは全ての鍵だ。共に手に入れよう、天に輝く、あの『黒い太陽』を……」
~ランドアースの何処か~
新年を迎える歓喜に満ちていたひとつの街が、今、消滅した。
精悍な顔付きをした一人の男の、ほんの戯れによるものだ。
消滅した街の地下……。
住民の誰も存在を知ることの無かった、その広大な地下迷宮は、恐るべき数々の罠を携えていた。
幾重にも仕掛けられた死の罠の数々は、迷宮の主の異常なまでの疑心暗鬼を感じさせた。
その仕掛けを、男は顔色ひとつ変えることなく進む。
毒針も吊り天井もその体に傷を与える事は無く、落とし穴すら意に介さず空中を歩く。
やがて、男は最深部の玄室に辿り着いた。
「ひ、ひぃぃぃ! 来るな! 来るなぁぁぁっ!」
玄室の片隅で震えていた何者かが、男の到来を目の当たりにして、情けない声を挙げた。
しかしその姿は、情けない声からは考えも付かない、完全なる異形。
全身を血塗られた包帯に覆い、脳が巨大に肥大化した頭部からは不気味な目と角を生やし、背中には脈打つ車輪を背負ったその姿は、紛れも無くキマイラであった。そしてまた、彼が怯えた恐怖の声と共に放つ攻撃は、先程の盗賊キマイラとは比べ物にならない、強力なものだ。
しかし男は、やはりそれらの苛烈な攻撃に一切怯む様子もなく、悠然と歩を進める。
そして怯える異形の前に立つと……ゆっくりと手を差し出した。
「見事だ。盗賊の王、闇の盟主バナザードよ」
男はその異形をバナザードと呼び、優しく助け起こした。
男は言葉を続ける。
「盗賊を続ける者は、やがてお前という、全ての盗賊を統べる『闇の盟主』の存在を知る」
「同盟諸国の冒険者達に、幾度か、犯罪の僅かな関連性から正体を掴まれそうになりながらも、
お前は類稀なる疑心と狡猾なる静けさによって、それを逃れた」
「お前の力は極めて脆弱だが、その疑心、その利己心は、まさに悪の教導者に相応しい」
「そして、お前によって世界にばら撒かれた悪は、遂にキマイラという収穫の時を迎えた」
男は、なおも言葉を続ける……。
‐‐‐‐‐
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「お前は、偉業を成し遂げた。その収穫、ありがたく貰い受けよう」
その言葉と同時に、男は背中から美しき8枚の翼を生やし、ゆっくりと広げる。
キマイラのようでいて、キマイラとは異質の存在――。
包帯に包まれたバナザードは、歓喜の涙と共にキマイラ化を解く。
肥大していた脳は頭蓋に再び収納され、包帯が滑らかな素肌を滑り落ちる。
この姿に戻ったのは何年ぶりか。
そして、このような安らぎを得られた事が、これまであっただろうか。
バナザードは理解したのだ。
何故、自分は盗賊達に君臨していたのか。自分の生は何の為にあったのか。
彼が、彼こそが、求め続けた真実の『主』なのだ。
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